大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

前橋地方裁判所太田支部 昭和41年(ワ)34号 判決

原告

細堀コト

ほか七名

被告

藤本良平

ほか一名

主文

一、被告藤本良平、同有限会社稲葉自動車修理工場は、各自細堀コト、同高橋本一郎、同片貝幸平及び同橋壁カヅエに対し金三七万二、六六二円也及び右金員に対する昭和四〇年九月七日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

二、被告藤本良平、同有限会社稲葉自動車修理工場は、各自原告石塚都留男、同石塚そのに対し各金一二一万六、八一九円也及び右金員に対する昭和四〇年九月七日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

三、被告藤本良平は、原告株式会社吉川工業所に対し金六万七、五四〇円也及びこれに対する昭和四〇年九月七日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を支払え。

四、被告藤本良平は、原告大正海上火災保険株式会社に対し金八〇万円也及び右金員に対する昭和四二年一月八日以降完済に至るまで年六分の割合による金員を支払え。

五、原告株式会社吉川工業所の被告藤本良平に対するその余の請求並びに被告有限会社稲葉自動車修理工場に対する請求を棄却する。

六、原告大正海上火災保険株式会社の被告有限会社稲葉自動車修理工場に対する請求を棄却する。

七、訴訟費用中、原告細堀コト、同高橋本一郎、同片貝幸平、同橋壁カヅエ、同石塚都留男、同石塚そのに関する部分は、被告両名の連帯負担とし、原告株式会社吉川工業所に関する分のうち一〇分の二は被告藤本良平、一〇分の八は原告株式会社吉川工業所の負担とし、原告大正海上火災保険株式会社に関する分は被告藤本良平のそれぞれ負担とする。

事実

本件の関係人について、左記のとおりの略称で記述する。

氏名 略称

1  原告株式会社吉川工業所 吉川工業

2  同大正海上火災保険株式会社 大正海上

3  被告藤本良平 藤本

4  同有限会社稲葉自動車修理工場 稲葉自動車

5  訴外藤本誠一 誠一

6  同三栄興業株式会社 三栄興業

第一、請求の趣旨と答弁の趣旨

甲(請求の趣旨)

一、原告細堀コト、同高橋本一郎、同片貝幸平、同橋壁カヅエは主文第一項及び第七項同旨

二、原告石塚都留男、同石塚そのは、主文第二項及び第七項同旨

三、原告吉川工業は、被告両名は各自同原告に対し金三四四万四、五四〇円也とこれに対する昭和四〇年九月七日以降完済に至るまで年五分の割合による金員の支払と被告両名の訴訟費用負担

四、原告大正海上は、被告両名は各自金八〇万円也とこれに対する本件訴状送達の翌日(昭和四二年一月八日)以降完済に至るまで年六分の割合による金員の支払と被告両名の訴訟費用負担の各判決と仮執行の宣言。

乙(答弁の趣旨)

原告らの請求をいずれも棄却

訴訟費用の原告ら負担

の各判決。

第二、請求の原因

一、交通事故の発生

(一) 日時 昭和四〇年九月六日午後一時ころ

(二) 場所 群馬県太田市大字東金井七五〇番地の一さき国道上

(三) 加害車両 訴外誠一(昭和四一年(ワ)第八八号事件分離前の被告)運転の訴外三栄興業(昭和四一年(ワ)第三四号取下前の被告)所有にかかる特定(七、五屯)大型貨物自動車(群一せ三三九四号)

(四) 被害車両 訴外亡高橋宇一運転、訴外亡石塚由金同乗の原告吉川工業の所有にかかる普通貨物自動車(群一す八五三八号)

(五) 結果

(1) 人的損害 訴外亡高橋宇一(当時三五年)及び訴外亡石塚由金(当時二六年)即死

(2) 物的損害 被害車両大破

被害車両の横荷破損

(六) 事故の原因

加害車両の運転者、訴外誠一の過失に基因。すなわち、交通事故発生地点は、交通ひん繁な国道であつたうえ、降雨のため、路面がぬれていて車両が滑走し易い状態であつたが、同訴外人は時速約七〇粁の高速度で進行し、車両を滑走させた。

二、原告らの地位

(一) 原告細堀コト、同高橋本一郎、同片貝幸平、同橋壁カヅエはいずれも訴外亡高橋宇一の兄弟姉妹であつて、同訴外亡人の死亡により、それぞれ四分の一ずつの相続分で相続。

(二) 原告石塚都留男、同石塚そのは、訴外亡石塚由金の父母であつて、同訴外亡人の死亡により、それぞれ二分の一ずつの相続分で相続。

(三) 原告吉川工業は、前記被害車両と積荷との所有者(ただし、被害車両の損害については、原告大正海上から後記保険により損害のてん補を受けた)。

(四) 原告大正海上火災は、損害保険業を営む会社であるが、昭和四〇年五月三一日、前記被害車両について原告吉川工業との間に自動車損害保険契約を締結していたところ、本件事故により、昭和四一年三月一八日、同原告会社に保険金を支払つたので、同原告会社に代位して損害賠償請求権を取得。

三、被告らの賠償責任

(一) 事実関係

本件加害車両は、訴外三栄興業の所有車両であつたが、同訴外会社が修理のため被告稲葉自動車に保管を委任していたところ、同被告会社がさらにこれを被告藤本(ガソリンスタンド経営)に保管を委任したので、同被告方の店員であつた訴外誠一がこれを運転して前記のとおり本件事故を発生。

(二) 被告らの責任原因

(1) 原告細堀コト、同高橋本一郎、同片貝幸平、同橋壁カヅエ、同石塚都留男、同石塚そのは、本位的に、被告藤本に対しては不法行為上の使用者責任、被告稲葉自動車に対しては善良なる管理者の注意義務違反による債務不履行上の損害賠償責任を主張。

予備的に、被告ら両名の自動車損害賠償保障法第三条による共同の保有者責任を主張。

(2) 原告吉川工業所、同大正海上の主張は、前記(1)記載の本位的主張に同じ。

四、損害の種類と数額

(一) 訴外亡高橋宇一関係

金二四九万〇、六四九円也 逸失利益

(1) 同訴外亡人は、原告吉川工業の工員であつて、月額金二万五、一五七円の給料を得ていたものであるところ、死亡当時、三二年三月の健康な男子であつたから、第一〇回生命表によれば、なお三七年の余命があり、同人の生活費月当り金一万五、〇九四円(月額収入の六割)とみてこれを差引くと、一か月金一万〇六三円、年間金一二万〇、七五六円を下らない純収益をあげることができ、これをホフマン式計算法により年五分の割合による中間利息を控除すると同訴外亡人の逸失利益は前記記載の金額となる。

(2) ところで、原告細堀コト、同高橋本一郎、同片貝幸平及び橋壁カヅエは、右金員の四分の一、すなわち、金六二万二、〇六六円の損害発生の事実は認める。

(二) 被告藤本は、同被告がガソリンスタンドを経営していること、本件加害車両をその経営するガソリンスタンドの構内におかせたこと、訴外誠一が被告の使用人であつたこと、及び同訴外人が本件加害車両を運転して本件交通事故をひき起したことは認めるが、その余の事実は全て争う。とりわけ、被告の業務執行中の事故であるとの原告らの主張及び本件加害車両について自動車損害賠償保障法第三条に言う保有者であつたとの原告らの予備的主張はこれを否認する。

(三) 被告稲葉自動車は、本件加害車両を訴外三栄興業から修理のためこれを預つたこと、さらにこれを被告藤本の経営するガソリンスタンドに預けたこと及び請求原因三、(一)(二)記載の事実はこれを認めるが、その余の事実は全て争う。

五、被告藤本の主張

(一) 被告藤本は、被告稲葉自動車と近隣のよしみもあり、また、同被告の代表者訴外稲葉与一と親しい間柄でもあつたので、同訴外人の長男訴外育正から懇請されて断わり切れずに本件加害車両をガソリンスタンド構内東北隅においてもよいと承諾したことはあつたが、右に述べたような次第で全く報償関係がなく、しかもその経営するガソリンスタンドの業務とは無関係であつたから、実質上も外形上も被告藤本の業務執行中にひき起した交通事故ではない。

(一) もつとも、同訴外誠一を雇入れたのは昭和四〇年四月一六日であつたが、同訴外人が大型自動車の運転免許を得たのが同年三月ごろであつて特定大型自動車についての運転資格はまだ有していなかつたので、被告藤本は、同訴外人に対し他人の自動車の運転を厳重に禁止していたものであつたところ、そのすきをうかがつて本件加害車両を訴外誠一が運転したので、その発見に気がつき制止のためあわてて追いかけたが間に合わず、本件事故をひき起すに至つたものであるから、その選任監督について相当の注意を怠らず、仮に事業の執行であつたとしても、右の事由により免責されるべきである(抗弁)。

六、被告稲葉自動車の主張

被告稲葉自動車は、被告藤本に本件加害車両の保管を依頼するさい、本件加害車両の「メインスイツチ」を切つたうえ自動車の鍵を同被告に手交しておいたものであるから、善良な管理者の注意義務に違反したことはなく、したがつてまた、自動車損害賠償保障法第三条に言う自己のため運行の用に供した保有者ではなく、仮に自己のため運行の用に供した保有者であつたとしても、同法条但し書により免責される(抗弁)。

第四、証拠〔略〕

理由

一、本件交通事故発生の事実(請求原因一、(一)ないし(五)記載)については、当事者間に争いがなく、そうして、〔証拠略〕を総合すれば、右交通事故は、加害車両の運転者訴外誠一の過失に基因することが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

二、被告藤本の賠償責任

(一)  被告藤本はガソリンスタンドを経営していて訴外誠一を店員として使用していたことは当事者間に争いがない。

(二)  そうして、〔証拠略〕を総合すれば、昭和四〇年九月六日午前一〇時ころ被告藤本は被告稲葉自動車の訴外稲薬育正から本件加害車両を置かしてくれと頼まれたこと、被告藤本は被告稲葉自動車と個人的にも親しかつたが得意先でもあつたのでこれを承諾してその経営するガソリンスタンド構内の北隅にこれを置かせたこと、そのさい右の自動車の鍵も預つたこと、正午の休けい時間中訴外誠一と店員訴外山口清宏の両名が本件加害車両のなかで雑談をしていたこと、ところが本件加害車両の位置がガソリンスタンドの営業上都合が悪かつたので訴外誠一が運転して加害車両の方向転換をしようとしたこと、訴外誠一が自動車のスウイツチをいじくつたりしているうち自動車の運転をしたくなつて訴外山口を同乗させたままガソリンスタンドの構内から路上に乗り出したことその結果本件交通事故をひき起すに至つたことが認められ、右認定に反する〔証拠略〕はたやすく信用できず、〔証拠略〕は右認定の妨害とならず、ほかに右認定をくつがえすに足りる証拠はない。

(三)  右認定事実に前記争いのない事実を合わせ考えると、本件交通事故は被告藤本の業務執行中の事故と認められるから使用者として賠償責任を有し、また一方、自動車損害賠償保障法第三条による自己のため運行の用に供する保有者として賠償責任をも有するから、本件交通事故による人的ならびに物的損害についてその賠償義務がある。

(四)  なお、被告藤本は、訴外誠一の選任監督について過失がなかつた旨抗弁するが、〔証拠略〕はこれを認めるに足りないし、被告藤本良平本人尋問の結果はたやすく信用できないし、ほかにこれを認めるに足りる証拠がないから、右の抗弁は採用できない。

三、被告稲葉自動車の賠償責任

(一)  原告らは、先ず被告稲葉自動車の善良なる管理者としてその注意義務違反を主張するのに対し、同被告はこれを争うので以下検討すると、同被告が本件加害車両を訴外三栄興業から修理依頼のため預かつたこと、さらにこれを被告藤本の経営するガソリンスタンド構内に預けたことは、いずれも当事者間に争いがなく、そうして、〔証拠略〕によれば、被告稲葉自動車は本件加害車両の修理が完成したものの工場内が狭あいであつたため被告藤本のガソリンスタンドに預けたこと、そのさい自動車のメインスウイツチを切つたうえ鍵をつけたままにしておいたこと、鍵をつけたままにしておいたのは預り先である被告藤本の方で自動車の位置を移動する必要のある場合を考慮したうえであつたこと、預けるさいには被告藤本の承諾を得たことが認められ、右認定を左右するに足りる証拠はない。

およそ善良なる管理者としてどのような注意義務が要請されるか、について考えると、特別の事情のない限り、一般的には自己の物に対すると同じ程度の注意義務をもつて足りると解するのが相当である。

これを本件についてみると、自動車修理業者である被告稲葉自動車が修理自動車を保管する場合、自己の修理工場内が狭あいであつたため、保管場所を適当な他の場所に移動するのは、取りもなおさず自己に対すると同程度の保管方法であり、また、そのさい自動車の鍵をつけたままであつたとしても、保管場所が空地や路上とはちがい、管理者の存在する駐車場や本件のようなガソリンスタンド構内である限り、これをとらえて善良なる管理者の注意義務違反とは言うことはできず、むしろ、管理者の存在する場合には鍵をつけておくことは保管依頼者の常識であり、また防災上も必要なことであると言えるところ、他に特別の事情の存在が何ら認められないから、被告稲葉自動車には本件加害車両の保管上善良なる管理者として要請される注意義務に違反したものとは到底認めることはできない。

(二)  つぎに原告吉川工業、同大正海上をのぞくその余の原告らは被告稲葉自動車の保有者責任を予備的に主張するので以下検討すると、前記(一)記載の争いのない事実及び認定事実によれば、被告稲葉自動車は、修理依頼者である訴外三栄興業から本件加害車両を返還するまで、右の自動車の運行を支配する者であり、たとえ、被告藤本に右自動車を鍵をつけたまま保管を依頼したものであつたとしても、同被告と重畳してその運行を支配する者であつた点には差等がなく、したがつて、被告稲葉自動車は被告藤本とともに本件加害車両の共同保有者として、前記原告らに対し本件交通事故による人的損害についてその賠償義務がある。

(三)  なお、被告稲葉自動車は、自動車損害賠償保障法第三条但し書による免責をもつて抗弁するが、本件交通事故をひき起した運転者訴外誠一に過失があつたことは、前記一、後記に認定したとおりであつて、同法条但し書の規定は運転者の無過失についてもこれを必要な要件と解するのが相当であるから、その点について判断するまでもなく右抗弁は採用できない。

四、損害の種類と数額

(一)  訴外亡高橋宇一関係

(1)  原告細堀コト、同高橋本一郎、同片貝幸平、同橋壁カヅエの地位と相続関係については、〔証拠略〕によりこれを認める。(被告稲葉自動車との関係においては争いがない)

(2)  〔証拠略〕によれば、同訴外亡人は、死亡当時原告吉川工業の工員であつて、月収金二万五、一五七円を得ていたこと、死亡当時三二年三月の健康な男子であつたことが認められ、右認定をくつがえすに足りる証拠がなく、さらに、第一〇回生命表によれば、同訴外亡人の余命は三七年であること、同人の生活費を一か月金一万五、〇九四円也と見積つたうえ、これを差引いた純収益についてホフマン式計算法により年五分の中間利息を控除して算定すると、同訴外亡人の逸失利益は金二四九万〇、六四九円也であることが明白であるから、同原告らが自認する保険金一〇〇万円を差引き、これを同原告らの相続分に応じて計算した金三七万二、六六二円也と本件交通事故発生の翌日である昭和四〇年九月七日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を被告藤本同稲葉自動車は各自同原告ら四名に対し支払義務がある。

(二)  訴外亡石塚由金関係

(1)  原告石塚都留男、同石塚そのの地位と相続関係については〔証拠略〕によりこれを認める。(被告稲葉自動車との関係においては争いがない)

(2)  〔証拠略〕によれば、同訴外亡人は、死亡当時原告吉川工業の工員であつて月収入金二万二、三三〇円を得ていたこと、死亡当時二六年七月の健康な男子であつたことが認められ、右認定をくつがえすに足りる証拠がなく、さらに、前記生命表によれば、同訴外亡人の余命は四三年であること、同人の生活費を一か月金一万三、三九八円と見積つたうえ、これを差引いた純収入についてホフマン式計算法により年五分の中間利息を控除して算定すると、同訴外亡人の逸失利益は金二四三万三、六三九円であることが明白であり、さらに、原告石塚都留男、同石塚そのの慰藉料は、諸般の事情を考え合わせると各原告につき金五〇万円ずつであることが認められるから、同原告らが自認する保険金一〇〇万円を差引き、これを同原告らの相続分に応じて計算した金一二一万六、八一九円也と前記昭和四〇年九月七日以降完済に至るまで年五分の割合による金員を被告藤本、同稲葉自動車は各自同原告ら両名に対し支払義務がある。

(三)  原告吉川工業関係

〔証拠略〕によれば、本件被害車両の積荷の損失は、売上相当金七万七、〇五六円の価額を有していたところ、スクラップとして一キロ一三円の割、合計金九、〇五六円にしかならなかつたこと、これを差引くと金六万七、五四〇円也であつたことが認められ、同原告の主張を認めるに足りる証拠はない。

そうすると、被告藤本は、同原告に対し金六万七、五四〇円也とこれに対する前記昭和四〇年九月七日以降完済に至るまで年五分の割合による金員の支払義務がある。

(四)  原告大正海上関係

〔証拠略〕を総合すれば、同原告と原告吉川工業との間において昭和四〇年五月三一日自動車損害保険契約を締結したこと、その車両保険金額は金九五万円であつたこと本件交通事故による損害額は金八〇万円也と査定した結果昭和四一年一二月一八日同金額を債権者訴外群馬トヨタ株式会社に支払つたこと、したがつて同原告は原告吉川工業に代位して金八〇万円也の損害賠償請求権を取得したことが認められ、右認定をくつがえすに足りる証拠はない。

そうすると、被告藤本は原告大正海上に対し金八〇万円也とこれに対する本件訴状送達の翌日であることが記録上明らかな昭和四二年一月八日以降完済に至るまで商法所定年六分の割合による遅延損害金の支払義務がある。

五、結論

(一)  以上のような次第で、原告細堀コト、同高橋本一郎、同片貝幸平、同橋壁カヅエ、同石塚都留男、同石塚そのの各請求はいずれも全部理由があるので正当としてこれを認容することとし、原告吉川工業の被告藤本に対する請求は前記認定の範囲内で理由があるので正当として認容するが、同被告に対するその余の請求及び被告稲葉自動車に対する請求は理由がないので失当としてこれを棄却し、原告大正海上の被告藤本に対する請求は理由があるので正当として認容することとし、被告稲葉自動車に対する請求は理由がないので失当としてこれを棄却する。

(二)  訴訟費用は、民事訴訟法八九条、九二条、九三条を適用。

(三)  仮執行の宣言については、本件交通事故の態様、責任原因及び被告らの責任能力等一切の事情を考慮してこれを付さないこととする。

右のとおり判決する。

(裁判官 加藤広国)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例